西陣織と博多織にはそれぞれ特徴があってわかるけれど、桐生織ってどんな織物なの?
桐生織は、帯の三大産地のひとつである群馬県桐生市を中心に織られる先染め織物です。
1000年以上の歴史を持つ群馬県が誇る伝統工芸品で、江戸時代には「西の西陣、東の桐生」と言われました。
西陣織は豪華絢爛、博多織は献上柄のイメージが強いですが、桐生織を一言で表現するには難しい部分があります。
あえて表現するなら、「シックで自由奔放」といったところでしょうか。
それこそ伝統的なものから現代的なものまで、多彩な素材やモチーフを展開しており、特に一点ものの桐生絞はさらに独特の雰囲気を放っています。
今回は、桐生織と桐生絞の魅力を、名古屋帯の画像でたっぷりとお伝えします!
- 桐生織と名古屋帯の基礎知識
- 桐生織と桐生絞の名古屋帯イメージ画像
この記事で紹介する「桐生織」や「桐生絞」の美しさを目にすると、きっと手もとに置きたくなること間違いなしです。
それでは、伝統とモダンが融合した名古屋帯とのコラボを、お楽しみください!
桐生織と名古屋帯の基礎知識
ここでは、桐生織と名古屋帯について簡単に説明します。
桐生織とは
群馬県工芸品指定の桐生織には、「伝統的工芸品」に該当する7つの製織技法があります(1977年に指定)。
桐生織の製織技法は以下のとおりです。
【桐生織】7つの技法
桐生織の技法 | 呼びかた | 備考 |
お召織 | おめしおり | 光沢があり独特の細かい凹凸が柄に奥行き感を出す織物 |
経錦織 | たてにしきおり | 3色以上の経糸と2色以上の緯糸で構成される織物で、裏面にも文様があらわれる |
緯錦織 | ぬき(よこ)にしきおり | 単色の経糸に8色以上の緯糸で文様を展開する織物 |
風通織 | ふうつうおり | 表裏異なる色で同じ柄を表現する複雑な織物 |
浮経織 | うきたており | 2色以上の経糸を密に使ってなめらかな文様を構成する織物 |
経絣紋織 | たてかすりもんおり | 経糸でかすり模様を、複数の緯糸で文様を織り出す手間のかかる織物 |
綟り織 | もじりおり | 経糸がからみながら緯糸と組み合うことで、折り目に隙間ができる一風変わった織物 |
ほかの織物と同様に、フォーマル度の高い丸帯や袋帯からカジュアルな帯まで、幅広く使われています。
絹やあらゆる天然・化学繊維などの素材を活かして、桐生織ならではの自由な世界観を発信しているのです。
帯だけでなくのれんなどの小物類や日用品、ファッション分野など、さまざまなフィールドで活躍しています。
名古屋帯とは
名古屋帯は袋帯に次ぐ格式高い帯で、使われる素材によりセミフォーマルからカジュアルまで楽しめます。
手先が細くなっているデザインで、幅約30cm(お太鼓部分。胴回りは約半分)、長さは約330〜360cmが一般的。
比較的簡単に結べるため、着物初心者でも扱いやすく人気があります。
また、どんな着物にもコーディネートしやすいのも魅力です。
名古屋帯については、こちらの記事で解説しています。
コーディネート例もあわせて紹介していますので、参考にしてくださいね。
桐生織の名古屋帯
この章では、桐生織と名古屋帯のコラボ画像をSNSからピックアップしていきます。
それぞれ異なる桐生織名古屋帯の雰囲気を、ご覧くださいね!
一見レースのような涼やかなデザインと絶妙なグラデーション。
もはや芸術品でうっとりします。
北欧のプリントを思わせる、どこか心やすらぐデザイン。
シックで落ち着いたベージュで、どんな着物にもなじみやすいですね。
麻と和紙糸が織りなす、やさしい色合いとモダンな紋様の名古屋帯。
普段着物と合わせた日は、いいことがありそうな予感がします。
立体感のある幾何柄で、白とグレーの計算されたコントラストがとても素敵ですね。
質感が異なる絹糸で構成された、無地ジャガード織のエレガントな帯。
浮き出た紋様の穏やかな光沢に、思わずため息が出ます。
淡いパープルとブルー、白のストライプを組み合わせた帯は、単体で見るとややカジュアルな印象。
離れて見ると美しいグラデーションを生み出し、とてもシックな雰囲気です。
ころんとした猫モチーフにいやされ、キュッと締めるだけでほんわかした気持ちになりそうです。
毎日身につけたい素朴感がたまりませんね。
絹糸と和紙のコラボが、波打つボーダーの美しさを完成させています。
上品に着こなしたい夏帯ですね。
紺の地に更紗モチーフをランダムに入れた、メリハリある個性的な帯。
桐生絞の名古屋帯
桐生絞は、その名のとおり桐生織に絞りをかけて作られるものです。
伝統工芸品の桐生織だけでもインパクト十分なのに、それに絞りをプラスする技術の高さがうかがえますね。
絞りは一点もので、まったく同じものはありません。それぞれ個性があるのが面白いところ。これが、桐生絞の魅力です。
この章では、趣向を凝らした桐生絞の世界を紹介していきます。
思わず声が出そうな、きれいな色ですね。
明るいイエローにブルー、淡いピンクはどれも気分が上がりそうです。
渋い配色の桐生絞帯。
桐生織の縞と絞りの技法によるカラーバランスが、もはや芸術です。
くすみカラーのパープルに咲いた白い花。
モチーフのまわりから放たれる幻想的なラインは、絞りだからこそ出せるものですね。
まるで美術館で展示されているような美しさです。
絞りから展開される世界は、ワクワク感がありますね。
淡いピンク系のやさしい色合いの絞りの帯。
シックなパープル系の着物の個性を引き立てています。
大きなひし形紋様の落ち着いたからし色や、濃い紺色で染め上げた絞り。
インパクトの違いこそあれ、どちらも素敵です。
シンプルなモチーフながら、白と黒の強いコントラストが個性的な絞りの帯。
明るい色の小物と合わせると、楽しくお出かけできそうです。
レモンイエローが印象的なひし形の紋様で、気持ちが明るくなりそうな帯ですね。
計算されたカラーバランスから、桐生絞りの高度な技術を垣間見ることができます。
名古屋帯で伝える桐生織と桐生絞の魅力
群馬県が誇る、桐生織や桐生絞の計算された美しさをまとう名古屋帯たちを紹介しました。
桐生織は、西陣織と並んで「東の桐生」と言われるほど長い歴史があります。
精緻な織技術とモダンなモチーフで現代ファッションと調和している桐生織と、独自の絞り染め技法が個性的な桐生絞。
それぞれ現代にマッチしたデザインを生み出し、名古屋帯に独特の美しさと風合いを与えています。
あなたもぜひ、桐生織や桐生絞の帯を手に取り身につけ、その世界に触れてみてくださいね。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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