博多織の献上柄には意味がある!模様の由来でわかる格式と特徴を知って和装を楽しみましょう

日本三大織物をご存じですか?

答えは「博多織」「西陣織」「桐生織」です。

それぞれ、とても魅力的な織物です。

中でも着物帯としてよく知られているのは「博多織」です。

レミ

博多織の特徴は「しなやかで丈夫なこと」「しめやすいこと」です。
帯として使いやすいため、博多織の帯は男女共に人気があります。

また、博多織の帯は格式も高く、相撲の世界では十両以上、落語家の世界では真打昇進しないと博多織の帯を締められません。

博多織の帯は、女性の和装でも色々なシーンで使われています。

特に献上柄の博多織はセミフォーマルからカジュアルまでオールマイティで人気があります

読者さま

博多織の帯は男性のイメージが強かったんですが、女性も楽しめる帯なんですね!
博多織をもっと知りたくなってきました。

レミ

博多織といえば「献上柄」が有名ですね。

読者さま

幾何学模様が縦に並んでいるような柄ですよね。
とても素敵だと思っていました!

レミ

博多織を代表する献上柄には、とても興味深い意味があります。

今回の記事では、「博多織」の特徴や種類を紹介した上で、博多織の帯の代表「献上柄」の意味や由来もご紹介します。

この記事でわかること
  • 博多織の特徴
  • 博多織の種類
  • 博多織の献上柄について

この記事を読んで、博多織の魅力や献上柄の意味や由来を知れば、博多織の帯を手にとってみたくなりますよ。

ぜひ、最後までお読みくださいね。

目次

【博多織】特徴と種類

1976年6月に博多織の帯が日本の伝統的工芸品の指定を受けました。

その後、2011年には博多織の着物の生地と袴が追加指定され、博多織は名実ともに日本の代表的な織物として広く認知された織物となりました。

特に帯は、使いやすさや柄が個性的なこと、様々なシーンで使えることから男女ともに人気があります。

ここでは、帯として人気が高い「博多織」の織り方や特徴、種類などを見ていきましょう。

博多織の織り方

日本三大織物の「博多織」「西陣織」「桐生織」はすべて先染めの糸を使って織られています

その中で博多織の特徴は、細いたくさんの経糸(たていと)と使い、太い緯糸(よこいと)をくぐらせて打ち込んで織っていることです。

ご紹介する動画は、古い織機を使って手織りしています。

レミ

トーン、トントンというリズムの織り方は、昔話に出てくる織機をみているようですね。

この膨大な細い経糸が、次に解説する博多織の特徴を生み出しています

博多織の特徴

続いて、博多織の特徴を紹介します。

博多織の特徴

軽くてしなやかで丈夫なこと

博多織では、通常の織物よりも多くの経糸を使っています。

通常、糸を多く使った生地は重くなります

しかし、博多織では経糸として細い糸を使っているので、経糸が多いのに重くなりません。

また、多くの経糸を使用していることから厚みや張りがあり、丈夫なのも特徴です

博多織は経糸の本数が多いことから、経糸の長さ方向(帯の長さの方向)ではしなやかで滑りやすくなっています。

つまり、博多織は「軽くてしなやかで丈夫」なのです

博多織の帯は、経糸方向の滑りにより締めやすく、締めた後は緯糸方向(帯の太さの方向)に滑りにくいためゆるみにくい特徴を持ちます。

そのため、博多織の帯は「締めやすくてゆるみにくく、締め心地もいい」のです

このような理由から、その昔、博多織の帯は重い刀を通してもゆるまないと武士に重宝されていました。

ゆるみにくい上、格式もあるため、冒頭でご紹介したように現代では日本の伝統文化である相撲や落語の世界で重宝されています。

レミ

締めやすくてゆるみにくいのは、女性にも嬉しいですよね。

博多織の帯は「締めやすくゆるみにくく、締め心地もいい」ので、男女ともに好まれています。

博多織の判別

数ある帯の中で、博多織だと判別するにはどのような方法があるのでしょうか?

博多織には「博多織工業組合」が発行している証紙が貼り付けられています。

この証紙は、組合が定める基準に合格している証で、正当な博多織だと判別できるようになっています。

1880年(明治13年)「博多織工業組合」の前身である「博多織会社」が設立され、博多織の商標の貼り付けが始まりました。

その後、1959年(昭和34年)に「中小企業団体の組織に関する法律」に基づいて「博多織工業組合」へと変化しています。

証紙は博多織工業組合のインスタグラムで見られるように5種類あり、2枚目の写真のように証紙に「伝統」のマークがついているものもあります。

この伝統のマークは、伝統の技法を使い、組合の検査に合格したものだけに貼られています。

レミ

博多織を購入する際には、ぜひこれらのマークの証紙を確認してくださいね!

博多織の種類

博多織の種類は、諸説あります。

「博多織七品目」と呼ばれる7種類とする説と、この7種類に2つ加えた9種類する説、このほか11種類とする説もあります。

正式な規定はないので、この記事では「博多織七品目」について紹介します。

献上・江戸幕府に博多織を献上していた時の織物
変わり献上・献上柄の一部を変化させた織物
平博多・たてうね織で作られた無地の織物
・主に袴地に使用される
間道(かんどう)・縞模様が入った織物
・献上柄と同じ技法で織られた献上柄以外の柄
総浮(そううけ)・先染めまたは先練りした絹糸による重ね織の織物
・「浮けたて」と呼ばれる技法を用いている
捩り織り(もじりおり)・たて糸とたて糸が絡み合う「絡み織」の織物
重ね織り・たて糸とよこ糸を2種類以上使った二重織以上の紋織物
・紋はたて糸とよこ糸またはよこ糸だけで作られている
絵緯博多(えぬきはかた)・柄をよこ糸で表した織物

このように博多織には沢山の種類があります。

次の章では、博多織の種類の中で最も有名な「献上柄」について詳しくご紹介します。

【博多織】献上柄の意味と由来

博多織の帯は、男帯と呼ばれる角帯やゆかたによく使われる半幅帯などとしてカジュアルな場面でよく使われています。

そんな博多織の帯でよく目にする柄は「献上柄」ではないでしょうか?

こちらは、博多工業組合インスタグラムで紹介されていた献上柄です。

幾何学模様のような、均一性のある柄の帯ですね。

あなたもよく目にされるのではないでしょうか?

この章では、博多織の代表とも言える献上柄にスポットを当てます。

献上柄の由来

献上柄という呼び方は、その名の通り「献上」されたことからつけられています。

江戸時代、筑前福岡藩初代藩主である黒田長政が、博多織の反物や帯を献上していました。

その模様は統一されていて、色まで決められていました。

続いて、この「統一されていた模様」についてご紹介します。

献上柄の模様

江戸幕府に献上していた博多織には、2種類に分類された合計4種類の柄がありました。

そして、2種類の分類にも意味があり、4種類それぞれにも意味があります。

これらの柄をまとめました。

縞の柄(子孫繁栄・家内安全)

親子縞(中子持縞)太い縞(親)の中に細い縞(子)が配置されている
親が子を守るという意味
孝行縞(両子持縞)細い縞の間に太い縞が配置されている
子が親を慕うという意味

仏具の柄(魔除け・厄除け)

独鈷(とっこ)インド古来の武器で密教の法具のひとつ
煩悩を打ち砕くと言われている物
華皿(はなざら)仏様を供養するときの仏具
供養でまく花を入れる器

献上柄のそれぞれの柄については、こちらのインスタグラムで詳しく写真が掲載されています。

レミ

ぜひページを送って、ご覧くださいね!

どれも素敵な柄ですね。

それぞれに意味があるとなると、意味と柄を見比べる楽しみもあります。

献上柄の色

筑前福岡藩主の黒田長政が江戸幕府に献上した柄は5色で、「博多織五色献上」と呼ばれています。

色は「青・赤・黄・紫・紺」です。

この色は、黒田藩主が献上するときに古代中国に五行説に結びつけて決めたと伝えられています。

五行説とは、すべてのものは「木・火・金・土・水」に分けられるという思想です。
全ての物はこの5つの要素で絡み合って成り立っていると言われています。

また、五色献上の色は、儒教の五常(5つの道徳)にも結び付いています。

それでは、5つの色をそれぞれ五常に結び付けてみていきましょう。

色の意味五常五常の意味
季節の始め(春)の色愛、おもいやり、慈悲
幸せや富を表した、天に昇る太陽の色礼節を重んじる、人を敬う
方角の中心で、大地の色人を信じる心
落ち着きと品格と神秘の色欲に囚われない、正しく生きる
力強く重厚、信用を表す色考える、学ぶ、知恵
レミ

博多五色献上の色の意味を知っていると、帯を巻く場面に合わせて色を選べるので、とても便利ですね。

博多五色献上帯をインスタグラムで見つけました。

読者さま

どれも、とてもシックな帯ですね。

レミ

柄と色の意味を知ると、博多織の帯の奥深さを感じて益々素敵に見えてきますね。

博多織の特徴である献上柄で帯を楽しもう!

日本三大織物の一つである博多織。

今回は、博多織の特徴などに触れつつ、博多織の中でも有名な献上柄にスポットをあてました。

まずは博多織の特徴です。

博多織の特徴
  • 細い経糸を多く使用して織られている
  • 軽くてしなやかで丈夫
  • 「博多織工業組合」が発行している証紙で判別できる
  • 「博多七品目」という種類に分けられる

博多織のしなやかで丈夫という特徴が、博多織が着物の帯として人気の理由です。

その中で、いろいろなシーンで着用されることが多い柄は献上柄です。

続いて、献上柄についてまとめました。

献上柄について
  • 江戸時代、筑前福岡藩主黒田政長が、幕府に献上したことから名前がついた
  • 模様は4種類で、模様のひとつひとつに意味がある
  • 色は五色で、色にもひとつひとつ意味がある

献上柄は、それなりの格式がある帯のため、相撲や落語の世界では、ある程度出世しないと着用できません。

しかしながら、浴衣や木綿の普段着にも合わせられるという面ももっています。

カジュアルな場面で献上柄を着こなすときも、模様や色の意味を理解して着こなすと粋な着こなしになります。

レミ

意味を知って着こなすと、通になった気分になれますね。

柄や色に秘められた意味を知って、博多織の帯を現在の和装の着こなしに取り入れてみましょう。

あなたの着こなしの幅がぐっと広がりますよ!

最後まで、お読みくださりありがとうございました。

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「ビーナスの帯」ブログ監修者   ショウジさんのご紹介 
  • 京都着物コンサルタント協会 上級着物講師
  • 「きもののやまと」で専属講師の経験を活かし、
    コミュニティセンターや自宅等で30年の指導の実績
  • 踊りの発表会や成人式等で着付けを100人以上こなす
  • 茶道や華道の日本の伝統文化をこよなく愛す

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