桐生織の使いやすさとは?歴史をひもときながら魅力を解説|個性豊かな帯も紹介します

読者さま

桐生織が気になっているのだけど、使いやすさはどうなのでしょう?

帯の三大産地として、西の西陣(京都府)、東の桐生(群馬県)、そして博多(福岡県)が知られています。

そのなかでも桐生織は、伝統的な着物や帯だけでなく現代的で個性ある帯も多く出しています。

さらには日常的に使えるアイテムにいたるまで、独自の発展をしてきました。

レミ

今回は、桐生織の歴史をひもといて魅力を解説していきます。

この記事を読めば、桐生織の使いやすさの秘密がよくわかりますよ。

この記事でわかること
  • 桐生織の特徴
  • 桐生織の歴史
  • 個性豊かな帯と小物などを紹介

桐生織の歴史と魅力を知ると、心から着物を楽しめるようになり、あなたの着物ライフがより素敵なものになるでしょう。

どうぞ最後までお読みください。

目次

桐生織とは?

桐生織は、伝統工芸品に指定されている群馬県桐生市の特産品である織物です。

京都の西陣織は「色彩豊かで豪華」、福岡の博多織は「献上柄」というように、それぞれ特徴を言い表せますね。

しかし、桐生織の特徴を一言で表現することは難しい、といわれています。

ここでは、桐生織の特徴を見ていきましょう。

桐生織の特徴

桐生織は、先染めした糸をジャガード織機で織り上げる織物です。

特徴である「7つの製織技法」は、1977年に国から伝統的工芸品に指定されました

7つの製織技法

技法読み方
お召織おめしおり
緯錦織よこにしきおり、ぬきにしきおり
経錦織たてにしきおり
風通織ふうつうおり
浮経織うきたており
経絣紋織たてかすりもんおり
綟り織もじりおり

桐生織は、天然素材から化学繊維まで、さまざまな素材を生かした織物です。

昔より国内外から柔軟に技術を取り入れて、進歩してきました。

絹を用いた最高位の帯から日常的なファッションまで、幅広く活用されています。

レミ

独自の製織技法を使ってさまざまな素材を加工するので、表現の幅が広く、とても一言では桐生織を言い表せませんね。

桐生織の歴史

桐生織の起源は、約1300年前の奈良時代までさかのぼるといわれています。

現在の桐生織にいたるまで、どのような経緯をたどってきたのか、歴史をひもといてみましょう。

白瀧姫伝説

画像引用:桐生市ポータルサイト「はたのね」

桐生市には、桐生織の発祥といわれる「白瀧姫伝説」があります。

こちらがその内容です。

白瀧姫伝説とは

約1200年前、桐生から京都の御所へ出仕した青年が、官女として奉仕していた白瀧姫に恋をした。

身分の違いはあったが、青年の和歌の才能が認められたことで白瀧姫を妻にめとることができ、桐生へ帰ってきた。

桐生の地になじんだ白瀧姫は、朝廷で覚えた養蚕や製糸、そして機織りの技術を広めた。

村は栄え、桐生の織物はのちに時の朝廷へ献上されるほどになった。

このことから、白瀧姫は織物を広めた機神として群馬県桐生市の白瀧神社に祀られている。

(参考:日本伝承大鑑

さらにさかのぼると、約1300年前にはすでに朝廷に織物を献上している記述が、続日本記に残っています。

戦国時代から戦前

戦国時代、桐生織にとって大きな転機となる関ヶ原合戦が始まります。

徳川家康の依頼により、1日で2,410疋(ひき。布地二反(たん)単位)の旗絹(はたぎぬ)を織り上げて献上します。

徳川軍が勝利したことで、「桐生織」が広く知られるようになりました。

その後、京都の西陣から技術を導入して手織りから機械織りに移行します。

技術の向上により、「西の西陣、東の桐生」といわれるほどの織物産業都市へ成長しました。

明治時代以降は、海外の染色や最新の機織り技術をいち早くとり入れます。

そして工業化を進めて生産量を増やし、大きく発展を遂げていきました

ここまでの流れを、年表で見ていきましょう。

西暦桐生織の発展
1333年新田義貞の軍旗に使用される
1600年関ヶ原合戦で徳川陣営へ旗絹を2410疋献上する
1738年西陣の織物師から「空引き(そらびき)装置付き」高機の技術を伝承される
1743年縮緬(ちりめん)の技法が西陣から伝わり、製造する
1783年水車動力による「八丁撚糸機(はっちょうねんしき)(*)」を考案する
*日本古来の撚糸機の一種。多量の錘(つむ)を同時に回して糸によりをかける
1838年11代将軍徳川家斉に縞縮緬(しまちりめん)を献上、「お召(おめし)縮緬」と呼ばれる
1851年お召縮緬仲間を創立し、1か月あたりお召を12,000反生産する
1865年横浜にのちに通商の基盤となる絹物店を開く
1873年ウィーン万博に初めて出品する
1877年荒木式ジャガードを京都から取り寄せる
1879年輸出向けに羽二重を制作する
化学染色法を習得し、舎蜜染(せいみぞめ)を販売する
1886年ジャガード・ピアノマシンを外国から輸入する
1888年木製の紋彫機を制作する
1898年毛織物の東(あずま)コート(*)を製造する
*女性の和装用のコート
1911年村田式半木製力織機(*)が完成する
*手機(てばた)から動力による力織機(りきしょっき)へ移行する段階で改良
 された小幅織機。木綿絣(もめんがすり)生産に使用されていた
1916年オーストラリア向けにスパンクレープを制作する
1918年人絹を使用した「文化帯」を創作する
1929年絹人絹交織(きぬじんけんこうしょく)のお召を製織する
参考:桐生織物記念館公式ウェブサイト
レミ

国内向けの着物や帯だけではなく、古くから海外向けの製品を制作し輸出していたことがうかがえます。

戦後から現代

戦時中は軍需産業に転換されたため、織物産業は壊滅的な状態に追い込まれました。

しかし、戦後の復興によりいち早く立て直しを図り、輸出を再開し織物産業を復活させていきます。

そして現代では、多くの小規模事業者によって多種多様な製品が生み出され、総合産地となりました。

2020年には「KIRYUtextile(桐生テキスタイル)」が国内外で商標登録され、今後のファッションシーンでのさらなる進展に期待が寄せられています。

戦後の桐生織の流れを、年表で見ていきましょう。

西暦桐生織の発展
1948年織機復元計画のもと、約3,000台の織機を復元する
アフリカ向けのレーヨンマフラーを皮切りに、さまざまな製品の輸出が盛んになる
1962年全国織物協技大会が開催され、3部門で業界初となる団体優勝を果たす
1973年ウィーン万博に再び出品する
1977年国から「伝統的工芸品桐生織」の指定を受ける
1985年コンピューターで制御を行うダイレクトジャカードを設置する
1994年「群馬県ふるさと伝統工芸品」に認められる
1997年国の登録有形文化財に桐生織物会館旧館(*)が指定される
*現在の名称は「桐生織記念館」
2008年地域団体商標に「桐生織」が登録される
2020年国内外で「KIRYUtextile」が商標登録される
参考:桐生織物記念館公式ウェブサイト
レミ

京都の西陣や海外から技術を柔軟に取り入れて発展し、現在の桐生織ができあがったということですね。

桐生織の多様性

さまざまな素材を生かした織物へ進化してきた桐生織は、その使いやすさがとても魅力です。

着物や帯から日常的なファッション、小物まで幅広く加工されている桐生織。

どんな製品があるのか、帯と小物に分けてSNSからピックアップして紹介していきます。

個性豊かな帯

藤原道長が好んだとされる、流れるような曲線の中に文様を入れた道長模様。

こちらの道長模様はとても上品で、さまざまな場面で活躍してくれそうです。

こちらの帯は、涼しげな流水模様が素敵ですね。

カジュアル向けな京袋帯で、扱いやすいポリエステル素材なので気軽に結べます。

こちらは黒の疋田市松模様の京袋帯。

どのような着物に合わせても、引き締まった印象を与えますね。

こちらはかわいらしい柄の入った半巾帯です。

遊び心のある柄は、楽しい気持ちにしてくれます。

ブルーをアクセントにした星柄の兵児帯。

個性的で目をひくモチーフは、年代を問わず着物を満喫できそうですね。

桐生織の小物

おしゃれな配色のかわいらしい花モチーフのポーチ。

帯とはまた違った素材感で、バッグから出すたびに笑顔になりそうです。

さきに紹介した、星柄兵児帯とおそろいのフリルヘッドドレス。

着物と合わせるだけでなく、日常でも使えるのはうれしいですね。

こちらは桐生織のがま口バッグ。

着物だけでなく、普段着に合わせても素敵に持てる万能さです。

このネクタイは、2020年の東京オリンピックの公式の商品として作られたもの。

桐生織の高品質さがよく伝わります。

桐生織は使いやすさが魅力!

この記事では、桐生織の特徴や歴史を解説しました。

桐生織の特徴
  • ジャガード織機で織る先染めの織物
  • 伝統的工芸品に指定された7つの製織技法
  • 天然素材から化学繊維まで多様な素材を活用

このような特徴をもつ桐生織は、着物や帯にとどまらず、さまざまな発展をしてきました。

そして、桐生織の歴史をひもとき、使いやすさの理由を見ていきました。

桐生織の歴史
  • 白瀧姫伝説
  • 関ヶ原合戦で徳川軍の軍旗を献上
  • 明治時代以降、国内外の技術を取入れ工業化
  • 戦後の復興、輸出の再開
  • 現代、多種多様な製品を生み出す総合産地化

桐生織は、時代の最先端の技術を柔軟に取り入れ、常に進化を続けてきました。

その結果、伝統的なものから現代的な個性豊かなものまで豊富なバリエーションが生まれ、使いやすさという魅力がでてきたのでしょう。

レミ

ぜひ、桐生織を身に着けて、その魅力を実感してみてくださいね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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「ビーナスの帯」ブログ監修者   ショウジさんのご紹介 
  • 京都着物コンサルタント協会 上級着物講師
  • 「きもののやまと」で専属講師の経験を活かし、
    コミュニティセンターや自宅等で30年の指導の実績
  • 踊りの発表会や成人式等で着付けを100人以上こなす
  • 茶道や華道の日本の伝統文化をこよなく愛す

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