
久留米絣って木綿素材で織られているけど、どんな特徴があるのですか?



久留米絣は自宅でも洗濯できるって聞いたけど、どうやってお手入れしたらいいのかしら?
久留米絣は200年以上愛されている日本の伝統的な木綿織物です。
木綿素材で丈夫な久留米絣は、自宅でも洗えて通気性がよく、一年を通して着られるため、普段着として愛用されてきました。
特徴である美しい藍色と多種多様な絣模様は、30以上もの工程を手作業で行う職人技によって生み出されます。
この記事では、久留米絣の木綿素材ならではの特徴と魅力、家庭でのお手入れ方法をご紹介します。
- 久留米絣のはじまり
- 久留米絣の特徴と魅力
- 家庭で久留米絣をお手入れする方法



職人の手仕事から生まれる久留米絣の魅力と、家庭でのお手入れ方法がわかると、手に取ってみたくなりますよ。
ぜひ最後までお読みください。
久留米絣とは?


絣(かすり)は、あらかじめ染め分けた糸で織られ、かすれたような模様が特徴の織物です。
長年、庶民の普段着として親しまれてきました。
ここでは、久留米絣について詳しく解説していきます。
久留米絣は日本三大絣のひとつ
久留米絣は、福岡県久留米市で生まれた伝統的な木綿織物。
愛媛県の「伊予絣」と広島県の「備後絣」とともに、日本三大絣のひとつとして有名です。
丈夫で肌触りのいい久留米絣は、小説家の太宰治が好んで着用していたことでも知られています。
久留米絣のはじまり
久留米絣のはじまりは江戸時代後期の1800年頃。
当時12~13歳の少女、井上伝(いのうえ・でん)によって考案されました。
彼女は、色あせて白い斑点ができた藍染の古着をみて、どうなっているのだろうと疑問を抱きます。
古着をほどいて調べみると、糸がところどころ白くなっているのを発見しました。
そこから「先に糸を染めて模様を作り出す」技法を生み出したのです。
伝は、弟子の指導にも力を入れ、40歳ごろには1000人以上もの門下生がいました。
そのうちの400人ほどが各地で工房を開いたことにより、久留米絣は産業として根付いていくのです。
幕末になると、倹約令により贅沢品として絹織物が禁止されたことで、代替品として木綿織物が注目されます。
木綿素材でありながらさまざまな柄がある久留米絣は、おしゃれな着物としてさらに庶民の間で広がっていきました。
国の重要無形文化財に指定
1957年、久留米絣は木綿織物として初めて国の重要無形文化財に指定されます。
手作業による高い技術や200年以上続く歴史的な価値、奥深い芸術性が高く評価されたためです。
1976年には伝統工芸品にも認定され、今も大切にその技術は受け継がれています。
木綿素材ならではの久留米絣の特徴


木綿素材で織られる久留米絣は、以下のような特徴があります。
- 通気性と吸湿性がいい
- 肌なじみがいい
- 家庭で洗える
- 丈夫で長持ち
ひとつずつ解説していきますね。
通気性と吸湿性がいい
木綿素材は糸の中が空洞になっているため、通気性と吸湿性に優れています。
夏は汗をかいてもすぐに吸収するので、風通しがよく涼しく着られるのです。
寒い時は、糸の中の空洞に含まれた空気が断熱材のような役割を果たし、体温が外へ逃げるのを防いでくれます。
このように、久留米絣は一年を通して快適に着られるため、長年普段着として愛用されてきました。
肌なじみがいい
木綿素材の久留米絣は、洗えば洗うほど生地が柔らかくなり、肌になじんでいきます。
新品のときの張りのある質感が、何度も袖を通すうちに体にしっくりくるようになります。
長く使うほど着心地がよくなり風合いが増していくのも、久留米絣ならではの魅力です。
家庭で洗える
久留米絣は木綿素材なので、家庭で気軽に水洗いができます。
絹素材と違い、汚れてもすぐに洗濯できるので、普段着や作業着のもんぺとして活用されていました。
気兼ねなく洗えることから、洋服やストールなどの現代的なアイテムにも幅広く取り入れられています。
丈夫で長持ち
木綿は繊維自体が太くて丈夫なため、摩擦に強く傷がつきにくいのが特徴です。
さらに、手織りでしっかりと織り込まれているので、繊維が密で耐久性が高くなっています。
そのため、久留米絣は繰り返しの洗濯にも強く型崩れもしにくく、長く使えるのです。
久留米絣の魅力


久留米絣が愛される理由に、丁寧な手仕事から生まれる藍染の美しさと、多彩な絣模様があげられます。
藍染の美しさ
久留米絣は上質な天然の藍を染料とした、伝統的な技法で染色が行われます。
まず、天然の藍を2~3週間かけて発酵させて染料を作ります。
薄い色から濃い色へ順番に染料に浸し、50回以上染色を繰り返すことで、理想の色に糸を染め上げるのです。
このように、丁寧に手間と時間をかけて染色を繰り返して、深い藍色が生まれます。



新品時のあざやかな藍色が「愛用するほどに色合いが変化していくさま」を楽しめるのも、天然の藍を使用している久留米絣ならではの魅力ですよ。
多種多様な絣模様
先染めの技法によって織り出される味わい深い絣模様が、久留米絣の魅力です。
伝統的な模様は、おもに「幾何学模様」と「具象的模様」の2種類に分けられます。
幾何学模様は丸や四角などの図形を組み合わせたシンプルな模様で、具象的模様は草花や動物などの自然をモチーフとしたもの。
以下のような模様が、代表的な例として挙げられます。
幾何学模様 | 井桁、市松、亀甲、十字、七宝など |
具象的模様 | 矢絣、麻の葉、青海波、など |
緻密な絣模様は、手織りだからこそ成せる職人技です。
伝統的な柄は藍色に白色の柄が基本ですが、最近は現代風のモダンな柄も出てきています。
ドットや曲線など可愛らしい柄から、無地のものも。
藍色だけでなく化学染料によるカラフルな色彩もあり、小物やインテリアにも使用されています。
このように伝統を大切にしながら、現代の日常生活になじむ新しい絣模様が生み出されているのです。
家庭で久留米絣をお手入れする方法


木綿素材の久留米絣は、家庭で気軽に洗えます。
久留米絣の美しい風合いを長く楽しめるよう、家庭で洗濯する際には、必ず以下の注意点を守りましょう。
- 漂白剤や蛍光剤入りの洗剤は使わない
- 直射日光を避ける
- 乾燥機は使わない
漂白剤や蛍光剤を使用したり、直射日光に当てたりすると、色あせや色落ちの原因になるので、注意が必要です。
それでは、久留米絣を家庭でお手入れする方法を解説します。
手洗いの方法
家庭で洗う際は、できるだけ手洗いするのがおすすめ。
- 洗面器に水またはぬるま湯をはり、中性洗剤を溶かす
- きれいにたたんだ久留米絣を浸し、やさしく押し洗いする
- 汚れが気になる場合は10~15分漬けおきする
- 水を変えて数回すすぐ
- 手で軽く絞るか、洗濯ネットに入れて洗濯機で30秒ほど脱水
- 裏返しにして形を整え、直射日光を避けて陰干しする
- しわが気になる場合は、中温で当て布をしてアイロンをかける
もみ洗いすると繊維を痛めてしまうので、やさしく洗ってくださいね。
最初の数回は色落ちすることがあるので、単独で洗うようにしましょう。
洗濯機で洗う方法
久留米絣は丈夫なので、洗濯機でも洗えます。
- 久留米絣をきれいにたたんで洗濯ネットに入れる
- 中性洗剤を使用して、「手洗いモード」や「おしゃれ着コース 」で洗う
- 脱水後、すぐに裏返しにして、形を整えて陰干しする
シワを防ぐために、脱水時間は短めにしましょう。
木綿素材の柔らかな風合いと着心地が魅力の久留米絣
この記事では、久留米絣の特徴と魅力、家庭でのお手入れ方法を紹介しました。
久留米絣は、12~13歳の少女、井上伝(いのうえ・でん)によって考案されました。
200年以上続く長い歴史と高い技術、芸術性から国の重要無形文化財や伝統工芸品に指定されています。
久留米絣は、「通気性と吸湿性」「肌なじみの良さ」「家庭で洗える」「丈夫で長持ち」という木綿素材ならではの特徴があります。
一年を通して快適に着用できて家庭でもお手入れできるため、庶民の普段着として愛されてきました。
職人の手仕事によって生まれる深い藍色と多種多様な絣模様が久留米絣の魅力です。
久留米絣をお手入れする際は、以下のポイントを押さえましょう。
- 漂白剤や蛍光増白剤を含む洗剤の使用は控える
- 直射日光に当てないように注意する
- 乾燥機は使用せずに自然乾燥させる
家庭でお手入れする際は、手洗いがおすすめです。
中性洗剤を溶かした水でやさしく押し洗いし、陰干ししましょう。
洗濯機で洗う場合は、「手洗いコース」や「おしゃれ着コース」で洗ってくださいね。
職人の手仕事から生み出される美しい藍色と、緻密ながら素朴な味わいの絣模様が魅力の久留米絣。
ぜひ手に取ってその魅力を味わってください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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