母の帯を整理していたら、たくさんの名古屋帯が出てきました。
名古屋帯ってどのような帯で、どの場面で使うのでしょうか?
名古屋帯は幅広く使用できる帯で、色々なシーンで使えます。
今回は、名古屋帯の魅力や気になる基本情報を紹介していきますね。
名古屋帯は、帯の種類の中でも袋帯に続いて大変ポピュラーな帯です。
また、ポピュラーなだけでなく、名古屋帯はどのような着物にも合う魅力あふれる帯なのです。
この記事では、名古屋帯の基本情報や魅力に加えて、名古屋帯を使ったコーディネートも紹介します!
きっとあなたもご自宅にある名古屋帯で着物を楽しみたくなりますよ。
ぜひ、最後までお読みくださいね。
- 名古屋帯 格と魅力
- 名古屋帯 5つの基本情報
- 名古屋帯 結び方
- 名古屋帯 コーディネート5選
名古屋帯とは‖帯の中の格とその魅力
洋装に格式があるように、和装にも格があります。
名古屋帯の格に合わせられる着物や着用できるシーンなどを知っておくと、より一層名古屋帯を楽しめます。
この章では、名古屋帯の格と合わせる着物について紹介しますね。
名古屋帯の格
名古屋帯の格は位置にすると中堅になります。
格が高い順に上から順番に並べると以下の通りです。
- 丸帯(礼装用)
- 袋帯(礼装用)
- 名古屋帯(礼装用・普段着)
- 半幅帯(普段着・浴衣)
名古屋帯は礼装用に使えるものから、普段着に合わせるものまであり、使えるシーンが幅広い帯です。
一番楽しめる帯と言ってもいいですね。
名古屋帯に合わせる着物
幅広く楽しめる名古屋帯は、合わせる着物も様々です。
名古屋帯に合わせられる着物の種類を紹介します。
- 小紋
- 紬
- 色無地
- 付け下げ
- お召 など
名古屋帯は合わせられる着物の種類が多いことが一番の魅力です。
観劇や美術鑑賞などで華麗に着こなしたり、お買い物でカジュアルに着こなしたりと洋服と同様に楽しめますよ。
名古屋帯は魅力的な帯ですね。もっと詳しく知りたいです。
では、次に基本情報をお伝えします。
なお、最後の章では名古屋帯を使ったコーディネートを紹介しますのでお楽しみに!
名古屋帯の知っておきたい5つの基本情報
名古屋帯はさまざまなシーンで使える帯で魅力あふれる帯だとご紹介しました。
では、名古屋帯の寸法や仕立て方などの特徴はご存知でしょうか?
名古屋帯の名前は知っているけれど、寸法や仕立て方などは知りません。
基本になる寸法や仕立て方、名古屋帯の種類などの基本情報を知ると、名古屋帯の使い方がより深くわかりますよ。
ここでは、名古屋帯の基本情報を5つに分けてお伝えします。
- 名古屋帯の寸法
- 名古屋帯の仕立て方
- 名古屋帯の種類
- 名古屋帯と袋帯や半幅帯との違い
- 名古屋帯の由来
名古屋帯の寸法
最初に名古屋帯の寸法について解説します。
名古屋帯の寸法は以下の通りです。
幅 | 長さ |
約30cm | 約330cm~360cm |
名古屋帯は、胸元下の胴回り部分は幅の半分約15cm、背中側のお太鼓部分は幅そのまま30cmを使って着付けます。
名古屋帯の仕立て方
続いて、名古屋帯の仕立て方を解説します。
名古屋帯の仕立て方は主に3つあります。
- 名古屋仕立て
- 松葉仕立て
- 開き仕立て
ひとつずつ紹介しますね。
名古屋仕立て
名古屋仕立ては、胸元下の胴に巻く部分を二つ折りにして縫い合わせて仕立てる方法です。
名古屋仕立ては、折らなくてはいけない胴回り部分を折った状態で仕立ててあるため、帯を折りながら胴に巻く必要がありません。
慣れていない人でも着付けが楽になり、非常に便利です。
松葉仕立て
松葉仕立ては、手先の部分だけ半分に折って縫い合わせて仕立てる方法です。
松葉仕立ての帯は、手先以外は折られていないので、胴に帯を巻きつける時に帯を折りながら巻き付けます。
そのため、ご自分で幅の調整ができ、お好みの幅を楽しめます。
開き仕立て
開き仕立ては手先から最後まで幅約30㎝のまま仕上げる仕立て方です。
開き仕立ての帯は、形が統一されているので、帯をたたむときに一番きれいにたためます。
ビーナスの帯のYouTubeでは、この3種類の帯のたたみ方を紹介しています。
形もわかりやすいので、ぜひご覧ください。
名古屋帯の種類
名古屋帯には、「九寸名古屋」と「八寸名古屋」の2種類があります。
違いをくらべてみましょう。
九寸名古屋帯 | 八寸名古屋帯 | |
仕立て前の帯の幅 | 約35cm | 約30cm |
生地の厚み | 薄い生地で帯芯が必要 | 厚い生地で帯芯が不要 |
仕立て方 | 主に名古屋仕立て | 主に松葉仕立て |
一般の人が、仕上がりをみて、「九寸名古屋帯」か「八寸名古屋帯」かを見分ける事は難しいため、ご自分のお好みで帯を選ぶといいでしょう。
名古屋帯と袋帯や半幅帯との違い
ところで、有名な帯の種類として、格の項で解説した「袋帯」や「半幅帯」がありますね。
名古屋帯とどう違うのでしょう?
この3つの違いについて紹介します。
名古屋帯 | 袋帯 | 半幅帯 | |
寸法 | 幅:約30cm 長さ:約330cm〜360cm | 幅:約30cm 長さ:約400cm〜440cm | 幅:約15cm 長さ:約330cm〜360cm |
用途 | 主に普段着 (礼装用としても使われる場合もある) | 主に礼装用 | 普段着や浴衣 |
結び方 | 一重太鼓 二重太鼓 | 二重太鼓 | 文庫結び カルタ結びなど |
格 | セミフォーマル~カジュアル | フォーマル | カジュアル |
使いやすさ |
名古屋帯は、幅広い格に対応しているのでいろいろなシーンで使えることがわかりますね。
なお、半幅帯の文庫結びをこのブログで紹介していますので、よかったらご覧ください。
名古屋帯の由来
名古屋帯の由来は諸説あります。
江戸時代では、帯としては丸帯が主流でした。
しかし、丸帯は重く結びにくいため、明治時代に袋帯が誕生しました。
その後袋帯の二重太鼓の着付けの手間を省くべく、一重太鼓を結べる名古屋帯ができたと言われています。
また、大正時代に名古屋で考案されたことから「名古屋帯」と名前がつきました。
大正12年の関東大震災の後、従来の袋帯よりも少ない生地で安価に製造でき、結び方も簡単にできると評判になり各地に広まり今に至ります。
各地に広まった名古屋帯は、今ではさまざまなスタイルで活躍する帯となっています。
なお、このブログでは帯の始まり丸帯についても紹介しています。
よかったらご覧くださいね。
続いて、名古屋帯の結び方を見ていきましょう。
名古屋帯の一重太鼓の結び方
この章では松葉仕立ての名古屋帯を使った、一重太鼓の結び方を紹介します。
なお、着付けの方法はこのサイトの監修をお願いしている着付師のショウジ先生に教えていただきました。
ショウジ先生、お願いします。
はい。では、解説しますね。
- 名古屋帯
- 帯枕
- 帯揚げ
- 帯締め
- 仮紐 2本
- 左手で手先を掴みながら、体に1周巻きつける。
- 体に2周目を巻き付けてから引き締め、肩に預けていた手先を後ろに回し、右寄りにギュッと引く。
- ギュッと引いた手先を、巻いた帯に沿うように折り上げ前にする。(垂れはだらんと下にする)
- 下にだらんと下げていた垂れの部分を上に折り上げて仮紐をする。
- 垂れの部分をバシンと左右に帯幅が整うように開いて、別の仮紐をする。
- 垂れの部分を持ち上げて、内側に帯枕を入れる。
帯枕にはあらかじめ帯揚げを巻いておきましょう。
後ろから見た姿と前からみた姿です。
- 帯枕をつけたので、仮紐を外す。
- お太鼓の下にくる垂れ先の位置を決めて、仮紐をする。
巻いた帯の下線から人差し指くらいの長さで調整するとよいでしょう。
短めの方がきれいに仕上がります。
- 垂れの部分は輪になっているので、一番下に仮紐を通す。
- 内側に沿って仮紐を上げていき、正方形になったところで仮紐を締める。
- 垂れ先の仮紐と同じ位置になるように調整する。
- 残っている手先を仮紐に沿ってお太鼓の中に入れる。
- お太鼓に入れた手先は2cmほど外に出す。
- 帯幅の真ん中に帯締めを通して締めて、仮紐を外す。
- 帯揚げを軽く結ぶ。
- 結び目を平らにする。
- 上側を輪にして、その中に下側の紐を通す。
- 結び目をさらに平らに整える。
- 出ている紐を伊達締めと帯の中に入れる。
慣れるまでは何回も練習しましょう。
コツは下記を確認してくださいね。
- 帯を巻く前に、帯揚げを帯枕にかけておく。
- 帯枕をするための仮紐2本は丁寧に巻くと帯山にシワができない。
- たれ先は短めにしておくと修正がきく。
- 最後に衿のVと帯揚げの真ん中、帯締めの結びめが縦い直線でつながるようにする。
ショウジ先生に教えていただいた方法なら、気軽に名古屋帯を楽しめそうですね!
名古屋帯のおしゃれなコーディネート5選!
ここでは、いろいろな種類の着物と合わすことができる名古屋帯を使ったコーディネートをご紹介します。
ショウジ先生のおすすめコーディネート
まずは私のコーディネートをご紹介しますね。
着物と帯をそれぞれ2種類使って、3通りのコーディネートを作りました。
組み合わせによって、雰囲気がガラリと変わります。
【1】結び方の紹介で使用した着物と帯です。
着物はポリエステル素材の小紋です。
【2】1番目と同じ着物で帯を変えました。
帯は森英恵さんのデザインでとても華やかですね。
【3】1番目の着物を変えてみました。
着物は小紋です。
レースのショールを掛けてみました。
もともと舞妓さんや芸子さん以外は帯を見せない文化がありました。
今でも年配の方はこのようにショールなどを掛ける方もいらっしゃいます。
付け下げや訪問着を使ったコーディネート
名古屋帯は小紋を合わせる方が多いですが、付け下げや訪問着をカジュアルに着こなしている方もいらっしゃいます。
おしゃれを楽しむだけでなく、お出かけの場面や天候などで組み合わせを自在に変更できるのも、名古屋帯の特徴です。
名古屋帯は合わせられる着物の種類が多く、デザインも豊富です。
和装だけでなく、洋装もミックスして楽しめるので、コーディネートの幅も広がります。
名古屋帯を使うとこんなにカラフルに着られるんですね!
いろいろな組み合わせを考えて、コーディネートを楽しんでくださいね。
【まとめ】名古屋帯の格を超えた魅力を楽しもう!
ここまで、名古屋帯の格や魅力、着こなしなどについてお伝えしてきました。
名古屋帯についてもう一度振り返ってみましょう。
名古屋帯の格 | 中堅 (丸帯 袋帯 名古屋帯 半幅帯の順になる) |
名古屋帯を合わせる着物 | さまざまな着物を合わすことができる (小紋 紬 色無地 付け下げ お召など) |
名古屋帯の寸法 | 幅約30cm 長さ約330~360cm |
名古屋帯の仕立て方 | 名古屋仕立て 松葉仕立て 開き仕立て |
名古屋帯の種類 | 九寸名古屋帯 八寸名古屋帯 |
名古屋帯の特徴 (袋帯・半幅帯との比較) | セミフォーマル~カジュアルまで幅広く使える帯 一重太鼓と二重太鼓の結び方がある 主に普段着として使用するが、準礼装用としても用いられる |
名古屋帯の由来 | 大正時代に名古屋で考案された |
ほかに、名古屋帯の一重太鼓の結び方とコーディネートも紹介しました。
帯の格の中でも真ん中にあたる名古屋帯は、さまざまなシーンで役立つ帯です。
しかも、名古屋帯にはクラシックな柄からモダンな柄まであり、色々な着物と合わせてカジュアルダウンも楽しめる魅力があります。
気軽に肩ひじ張らずに着こなせるのも特徴です。
ぜひ、家にある名古屋帯を並べてみて、コーディネートを考えて、お出かけしてみてください。
きっと楽しいお出かけになりますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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