面倒でずっとやっていなかったんだけど、帯の手入れの仕方ってどうやるの?
日常的に着物を着ないと、どうしても着物や帯はしまいっぱなしになりますよね。
めったに着ない着物や帯の手入れのために、時間をかけるのが面倒になる気持ちはわかります。
そうはいっても「久しぶりに身につけようと帯を引っ張り出したら、カビ臭やシミが!」となると、悲しくなりますよね。
あながち大げさな話ではなく、そうならないためにも定期的なメンテナンスが必要なのです。
この記事では、帯の手入れに適したタイミングと手入れの仕方、着用時の注意点を解説していきます。
- 普段の手入れと着用後の手入れの仕方
- 帯の手入れに適したタイミング
- 着用時の注意点
ここで紹介する手入れのポイントを押さえておくと、帯をきれいな状態に保てるようになりますよ。
では、読み進めてくださいね♪
【帯の手入れの仕方】普段のメンテナンス方法
まずは帯の手入れのタイミングや、手入れをするときに知っておきたいことを解説していきます。
帯の手入れにおすすめのタイミング
帯の手入れにおすすめのタイミングは、「虫干し」の時期です。
そもそも着物が日常着だった昔は、3回虫干し(土用干し、虫干し、寒干し)が行われていました。
虫干しは以下の3種類があります。
年3回の虫干しの時期と内容
時期 | 内容 |
1月下旬〜2月頃(寒干し) | 最も湿度の低い季節。着物や帯に風を通すのに適している |
7月下旬〜8月初旬頃(土用干し) | 梅雨明けの季節。ただし、時期によっては湿気が高い |
10月下旬〜11月頃(虫干し) | 暑さが落ち着きさわやかな季節。衣替えにちょうど良い時期 |
帯の手入れは湿気の少ない時期が適していますので、「1月下旬〜2月頃」「10月下旬〜11月頃」がおすすめ。
着物をほとんど着用しないのであれば、年2回、最低でも年1回は手入れしましょう。
ただ、地域によって湿度も違ってきますので、その点は注意してくださいね。
陰干しの3つのポイント
帯を取り出したらまずハンガーにかけ、シミや汚れがないか確認してから陰干ししましょう。
長い間しまいっぱなしにすると、どうしても帯に湿気がこもります。
湿気をしっかりとるためには、以下の3ポイントを押さえるのが大事です。
陰干しのポイント
- よく晴れた日の風通しが良い日陰に干す
- 干すタイミングは10~15時を目安にする
- 干す時間は3〜4時間、陽がかげる前に取り込む
虫干しの時期は湿度が低いので、陰干しする絶好のタイミング。
前日が雨の場合はまだ湿気が残っているので、晴れが続いた日に実行しましょう。
ハンガーにかけるときは、刺繍などの装飾がある側を表にします。
帯のたたみ方のコツ
帯はたたみ方次第でシワを減らすことができます。
たたみ方によっては目立つところにシワができてしまい、いざ着用するときに困ることも。
そんなことにならないように、ぜひ基本をおさえてきれいな帯のたたみ方を習得しましょう。
最大のポイントは、繊細な装飾(刺繍やお太鼓の模様など)に折り目をつけないことです。
ここでは、袋帯のたたみ方を紹介します。
たたむ前に、帯にほこりなどの汚れがつかないように敷物を敷いておきましょう。
袋帯のたたみ方
- 模様が外側に来るように二つ折りにする
- 3分の1を中に折る
- さらに残りの3分の1を重ねるように折り曲げる
意外と簡単ですが、丁寧に扱ってくださいね。
折りジワが気になる場合は、和紙を棒状に丸めたものを折り山の内側にはさむと安心ですよ。
たとう紙の交換
たとう紙は手入れの際に必ず交換しましょう。
「防カビ」「防チリ」「防シワ」の効果があるたとう紙ですが、さすがに長年放置すれば劣化します。
カビやシミの発生率を下げるために、ぜひ新しいものに入れ替えてくださいね。
たとう紙は、和紙と洋紙があります。
帯を着用する機会が多い場合は洋紙でも良いのですが、長期保存するなら吸水性に優れている和紙がおすすめです。
帯を収納するときは、金銀糸や箔などの装飾を使っている部分に薄紙をあてましょう。
帯の保管方法
桐には湿気を適度に保つ効果があるため、湿気を嫌う着物や帯の収納に最も適しています。
昔から着物や帯の収納は、桐たんすや桐箱が使われていますね。
手入れの時期には、中身を空にして湿気を取るのを忘れないようにしましょう。
「桐たんすや桐箱をわざわざ買うのも……」と悩まれている場合は、湿気が発生しないプラスチックのケースでも構いません。
プラスチックケースを使う場合は、以下の2点に注意しましょう。
- 湿気を吸わないため、ケースの底に除湿シートを敷く
- 着物や帯を収納したたとう紙が入るサイズを選ぶ
なお、除湿シートは手入れのタイミングにかかわらず、定期的に様子をみて交換してくださいね。
「まだまだ大丈夫!」と思っていても、クローゼットや押し入れなど置く場所の環境によって効果が異なるからです。
また、桐たんすや桐箱などの桐素材は防虫・防湿効果が高いですが、しまいっぱなしにするとカビが発生することもあります。
そのため着物や帯に触れないよう、箱の四隅に防湿剤などを入れましょう。
防虫剤を入れるときは、樟脳(しょうのう)とナフタリンを一緒にしないでくださいね!
化学反応で防虫効果がなくなり、シミの元にもなってしまいます!
手入れの時期やたたみ方、たとう紙のメンテナンスも大事なのね。
着物や帯をしまいっぱなしのたんすを開けるのが怖いけど、やってみます!
帯のリフレッシュになりますので、ぜひやってあげましょう♪
上記で紹介した普段のメンテナンスをしても、カビが生えてしまうことがあります。
そんなときは、以下の記事を参考にして、適切に対処しましょう。
【帯の手入れの仕方】着用後のメンテナンス方法
この章では、着物を着用した後の帯の手入れについて説明していきます。
手入れのポイントは以下の3つです。
- シワをのばす
- 湿気をとる
- シミがないか確認する
基本的なことですが、手間を惜しまずにやることが大事です。
それぞれ、みていきましょう。
シワをのばす
帯を解いたらすぐに、和装用ハンガー(なければ普通のハンガーでもOK)にかけると同時にシワをのばしましょう。
着用時の帯はほどけないようにぎゅっと締めるため、当然シワができやすくなります。
さらに着用時の体温で温められているため、シワはなかなか取れません。
そのため、ハンガーにかけたらすぐに処置をする必要があるのです。
シワは、素材をいためないよう柄部分にハンカチなどの柔らかい布を当て、帯の裏側からしっかりのばすのがコツ。
帯に温もりがあるうちにするのが効果的ですよ。
それでも、「どうしても気になるからアイロンをかけたい!」と思うことがあるでしょう。
アイロンのかけ方によっては、帯がだめになってしまうことがあります。
リスクを避けるためにも、アイロンをかける前にぜひこの記事をご一読くださいね。
湿気をとる
シワのばしの処置が済んだら、次は湿気をとるために陰干しをしましょう。
着用後は体温による湿気がこもっているため、何もせずに放置するとカビやシミになるリスクがあります。
そのため、陰干しをするのは帯を長持ちさせるために大事なことなのです。
陰干しは半日〜1日、通気性の良い場所にかけるのがおすすめ。
シミがないか確認する
帯にシミがないか確認し、シミがあったら迷わず専門のクリーニング店に出しましょう。
着用時の帯に、水分(飲み物や食べ物のソース、手洗いの水はねなど)がかかってしまった場合も同様です。
その場で一時的な処置をしたとしても、帯芯が入っている帯(袋帯や名古屋帯など)の場合、表面から帯芯の汚れ具合はなかなかわかりにくいもの。
表面だけの汚れで判断して自己流でシミ抜きをすると、かえってカビを発生しかねない事態を起こしてしまいます。
それだけでなく、シミ抜きに失敗したら専門クリーニング店でも元に戻せなくなる可能性大です!
帯は絹織物や刺繍が使われているものが多いため、個人判断で処置せず、クリーニングに出しましょう。
帯のクリーニングについては、以下の記事で紹介しています。
ぜひ参考にしてくださいね♪
帯を着用するときの注意点
ここでは、帯の汚れを少しでも減らせるように、着用するときの注意点をあげます。
注意したいことは以下の3点になります。
- 食事時は大きめのハンカチなどをかける
- 雨対策をしっかりする
- なるべく素手でさわらないようにする
どれも簡単なことなので、説明していきますね。
食事時はハンカチなどをかける
食事時は帯の前面に大きめのハンカチなどをかけるようにします。
気をつけて食事をしていても、食べ物の汁や飲み物の水滴は知らず知らずのうちにかかってしまうもの。
特に、水は無色のため表面からは汚れが分かりにくいです。
帯の上部にハンカチ(もしくはナフキン)の両端を挟んで垂らして、できるだけ汚れから守りましょう。
雨対策をしっかりする
着物を着用してお出かけするときは、雨対策を忘れずに。
帯は繊細な正絹でできているものが多いので、水に弱く、型崩れしやすくなります。
ちょっとした雨でも、帯にかかってしまうと輪ジミができてしまうことも。
雨や雪に備えて、着物用の雨コートを1枚持っておくのも良いでしょう。
それだけでかなり雨ジミを防ぐことができます。
なるべく素手でさわらないようにする
帯は極力、素手でさわらないようにしましょう。
とはいえ、無意識に触れたりすることもあるので、なかなか難しいですよね。
触れたところに手垢がつくので、気がついたらカビが生えたり、虫食いで穴ができてしまったりすることがあります。
そのため、着用している時に帯をさわるのは必要最低限にとどめましょう。
帯の上手な手入れの仕方と保管方法 まとめ
帯は適切にケアをすれば、子や孫へと三世代もわたって一生使い続けられるものです。
だからこそ、帯の手入れをしっかりすることが大事になります。
普段の手入れは、湿気の少ない「1月下旬〜2月頃」「10月下旬〜11月頃」にやるのがおすすめ。
普段の手入れの仕方は以下の5つがポイントになります。
- よく晴れた日に実行する
- 陰干しをしっかりする
- 帯をきれいにたたむ
- たとう紙を交換する
- 収納ケースは湿気を取る
着用する機会がほとんどないからこそ、上手に手入れしたいですね。
そして、着用後の帯の手入れの仕方も押さえておきましょう。
- シワをのばす
- 湿気をとる
- シミがないか確認する
ひと手間をかけることで、帯がより長持ちしますよ。
帯を身につける機会があったら、なるべく水分がかからないように食事時や雨の日などは気を配ってくださいね♪
着物や帯のメンテナンスは、普段着用しないとおろそかになりがちです。
長年放置して久しぶりに引っ張り出したら「あ!カビ臭い……」なんてことにならないためにも、最低でも年1回はメンテナンスをしてあげましょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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