母が使っていた形見の帯なので、なるべく傷をつけたくないんです。お手入れはどうしたら良いのかしら?
お気に入りの帯だから、シミやシワをつけたくないの。簡単な保管の方法を教えてほしいです。
ていねいに扱っているつもりでも、気がつかないうちにシミやシワなどで帯が傷んでしまい、悲しい気持ちになった方は多いのではないでしょうか。
お母さんやお祖母さんが使っていた帯、あなたのお気に入りの帯など思い入れのあるものなら、よけいに悲しくて泣きたい気持ちになってしまいますよね。
この記事では大切な帯を傷めて後悔しないために、知っておきたいお手入れのポイントと保管方法をご紹介します。
- 帯が傷む原因
- 帯のお手入れ方法と保管方法
どうぞ最後までお読みくださいね!
帯が傷む原因をくわしく解説!
帯のトラブルは4つあります。
- シワがついてしまった
- カビが生えてしまった
- いつの間にかシミがついてしまった
- 生地を指や爪で引っ掛けて糸が飛び出してしまった
それぞれの原因をひとつずつ解説していきますね。
シワがつく原因
帯のシワは、大きく分けて2種類あります。
- 何度も結んだり、長時間使用したりしてできたシワ
- 帯の縫製が原因でついたシワ
- たたみジワ
- 表地と裏地の素材が違うためについたシワ
まずは、お手入れ次第で直るシワをご紹介します。
お手入れ次第で直るシワ
何回も結んだり長時間使用したりしてついてしまったシワは、プレスや再縫製などのお手入れで直ります。
縫製が原因でついたシワは、帯をミシンで縫うときに縫い代を間違うなどして、縫製が悪く形が崩れてしまったためできたもので、帯を仕立て直せば直ります。
続いて、お手入れをしても無駄なシワをご紹介します。
お手入れしても無駄なシワ
たたみジワは、タンスなどに収納したままにしておくことが原因です。
長期間、帯をたたんだままにしておくと外側の生地は伸びたままになり反対に内側の生地が縮むため、折ってある部分にクセがついてしまうのです。
このシワはプレスや仕立て直しのお手入れをしても、たたむと再び同じようにシワが付いてしまいます。
着るときに不都合がなければ「こういう帯なんだ」と考え、そのまま使っても問題はありません。
表地と裏地の素材が原因のシワは、ちりめんのように縮みやすい表地と素材が違う裏地を使用したときに見られます。
ちりめんのように縮みやすい生地は、湿気に弱い性質がある上に熱や蒸気で縮んでしまうため、素材の違う裏地にシワがよってしまうのです。
この場合は、お手入れしても効果が望めず、帯に使用する生地を同じ性質のものに変えるほかありません。
帯を購入するときに、帯の素材のチェックを忘れずにすると良いですね!
カビが生えてしまう原因
帯がカビる原因は湿気です。湿気は帯芯にこもりやすいためカビは帯芯から生えやすいです。
帯芯とは帯の芯として中に入れる生地のことをいい、帯の形を保つためのもの。
帯を使用したあと、乾かさないでタンスなどにしまうと帯芯にこもっている湿気が原因でカビてしまいます。
特に厚い帯芯は湿気が溜まりやすいので注意が必要です。
久しぶりに帯を使おうと思って出してみたら、カビ臭くてよく見るとカビが生えてたということも……
いつの間にかシミがつく原因
帯のシミの原因は以下のように考えられます。
- 食事の際に、知らないうちについてしまったシミ
- 手指で直接触ってしまったためできたシミ
手指は案外汚れているもので、帯を直接手でベタベタ触ってしまうと、あとあとシミの原因になってしまうこともあります。
生地から糸が飛び出してしまう原因
着付けをしたあと帯をよく見ると、帯の生地から糸が飛び出していたという経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
帯の糸が飛び出た原因のひとつは、手指にできたささくれです。
着付けの際や帯のお手入れをする際に、手指のささくれが生地を引っ掛けてしまうことがあります。
糸が飛び出すだけでなく、ささくれからの出血で帯や着物に血が付いてしまうこともあるので気をつけましょう。
着付け師の方は着物や帯などを引っ掛けて傷つけないよう、毎日のハンドケアは欠かせないようですね。
帯を傷めず長く使うためのお手入れ方法と保管方法
大切な帯が傷んでしまわないために、帯の基本のお手入れ方法からお伝えしますね。
- ぬくもりがあるうちに、ハンガーに掛けてシワを伸ばす
- ホコリやゴミを取り、汚れ・シミがないかよくチェックする
- 日陰干しをしてよく乾燥させる
- 湿気がとれたら帯を丁寧にたたみ、たとう紙に包んでタンスなどにしまう
こうすることで、帯のシワが伸び、湿気が取れるのでカビも防げますよ。
汚れやシミを見つけたら、すぐにクリーニング店や専門業者に依頼しましょう。
帯のたたみ方
帯のたたみ方は、簡単にできるたたみ方(1/8のたたみ方)と、太鼓結びで太鼓の部分にシワがつきにくいたたみ方(1/6のたたみ方)があります。
簡単にできる1/8のたたみ方
- 帯を2つに折る
- 再び2つに折る
- 最後に2つに折る
着用時にシワが出ない1/6のたたみ方
- 帯を外表にして2つに折る
- 手先の部分を20センチくらい内側に折り込む
- もう一度半分に折る
帯の折り目に、布や綿などの芯を入れておくとたたみジワがつきにくくなりますよ。
帯の柄に合わせてシワが目立たない折り方をしましょう。
でも、帯のシワってアイロンをかければ、きれいになるんじゃないですか?
確かにシワがついたらアイロンをかければ良いと思いがちですよね。
しかし帯にアイロンをかけるのは、大変危険ですよ。
金銀箔が落ちてしまったり、生地が縮んでしまったり、熱や蒸気で色が変色する可能性があるからです。
まずはアイロンをかける前に、アイロン以外で帯のシワを伸ばす方法を試してみましょう。
- 帯をハンガーに掛け、日陰干しをする
- 帯をきちんとたたんでたとう紙に包み、その上に厚い本や他の帯をのせる
この方法なら、大体の帯のシワが取れます。
どうしても帯のシワが気になってしまう場合、専門業者に依頼しましょう。
帯にアイロンをかける方法
帯のシワが伸びないのが気になる、専門業者に依頼する時間がない、お金もかけられないという方にアイロンのかけ方をご説明しましょう。
アイロンをかける前に大切な注意事項は以下のとおりです。
- かならずあて布を使用し、帯に直接アイロンをかけないようにする
- 帯の目立たないところで試して、異常がないか確認する
- アイロンをかけるときは、帯の裏地からかける
- アイロンの温度は中温に設定する
- 刺繍や金銀箔は特に注意、もしくはかけない
- アイロンは軽く押さえる程度にし、一定方向へかける
絶対に大丈夫とは言えないので、自己責任でかけてくださいね
アイロンをかける手順
アイロンをかけ終わったら、ハンガーにかけ湿気を飛ばしてから正しくたたみ、たとう紙に包んでタンスなどにしまいましょう。
アイロンをかけるときは、やけどにも十分に注意してくださいね。
帯にアイロンをかけるときの注意事項などくわしく説明した記事がありますので、ご一緒にどうぞ。
カビが生えないようにするために大切なこと
帯を使用したあとは、ハンガーにかけ陰干しし完全に乾燥させる必要があります。
なぜなら、汗が帯にしみこむのと同時に空気の中の湿気がこもりやすいためです。
乾燥させないままタンスなどにしまうと、カビが生えてしまうかもしれません。
しっかり帯が乾燥したら、きちんとたたんでたとう紙に包み、タンスなどにしまいましょう。
こちらの記事では、帯にカビが生える原因と対処法がくわしく解説されていますので、ご一緒にどうぞ。
いつの間にかついてしまったシミの対処法
帯にシミがついてしまったら、すぐに自分でシミ抜きをしたくなってしまいますよね。
しかし、帯のシミ抜きの自己処理は以下の理由により、おすすめしません。
- 色抜け、色にじみ、色移りなどの失敗をしやすい
- 帯芯に水分がしみてしまい、カビの原因になる
- 刺繍、織りなどが縮んでしまう
帯の自己処理は失敗してしまう可能性が高く、もしシミ抜きに失敗してしまうと専門業者でも元のように戻せません。
帯にシミを見つけたら、専門業者に依頼しましょう。
シミを付けないためには、シミの予防対策がポイントです。
食事会などでハンカチを膝の上あたりにかけている方がいらっしゃいますが、帯を守るには不十分です。
着物で食事をとる際は、帯の上までハンカチやタオルで覆うと良いでしょう。
ハンカチの両端を帯にはさんでおくと、ソースやスープなどがはねて汚れるのを防げますよ。
指や爪で帯の生地を傷めないためには?
爪のささくれや割れた爪などで荒れた手は、帯や着物の生地を引っ掛けて、傷をつける原因となります。
手指の保湿ケアをすれば防げるので着物を着る前には爪を切り、日頃からハンドクリームを塗るなどして、手指のケアを行いましょう。
ハンドクリームは、着物を着る前日にしっかり塗り、当日には塗らないようにしましょう。
なぜ、当日にハンドクリームを塗らないの?
着物を着る当日にハンドクリームを塗ってしまうと、クリームの油分が着物や帯に付いてシミの原因になるためです。
特に注意が必要なのは、洗濯のできない正絹の帯や着物です。
どの生地でもそうですが、帯や着物を傷つけないようにしっかり予防対策をしましょうね。
帯の保管方法
桐のタンスは、湿気を適度に保つ効果があるため、帯や着物を収納するのには最適です。
しかし桐のタンスがない方は、収納に最適だとはいえ、新しく買うのは大変な方も多いのではないかと思います。
そこで、プラスチック製の収納ケースの利用をおすすめします!
え?プラスチック製の収納ケースって、ホームセンターとかでよく見かける?
そうです。実は、プラスチック製の収納ケースは湿気をよばないので帯や着物を収納するのに適しています。
プラスチック製の収納ケースを使用する際の注意点は、2つあります。
- ケースの底に除湿シートを敷き、定期的にシートを交換する
- 帯や着物を収納したたとう紙が入るサイズのものを選ぶ
帯がカビる原因は湿気ですから、保管しているタンスにも湿気取り(除湿剤)を入れておくと良いですね。
湿気取り(除湿剤)は、一定の水分量しか吸いませんので、様子をみながら定期的に交換しましょう。
また、帯を長期間しまったままにしておくと、必然的に帯の繊維などに湿気が溜まりやすくなります。
年に2、3回程度、ときおり帯をタンスや収納ケースから出し、日の当たらない場所で虫干しをするのが理想的ですね。
虫干しにおすすめの日は、梅雨明け、秋、冬などの季節の変わり目の天気が良く、晴れが続く日です。
こちらの記事では、帯のお手入れ方法と保管方法をくわしくご紹介しています。ご一緒にどうぞ。
大切な帯を傷めて後悔しないために まとめ
今回は、大切な帯を傷めて後悔しないようにするための方法をご紹介してきました。
帯のトラブルと主な原因をまとめてみましょう。
帯のトラブル | トラブルの原因 |
シワ | 着用後のシワ、または帯をたたんだままにしておいたことによるたたみジワ |
シミ | 食事のときに知らない間に付いてしまった、帯を手で直接触ってしまったなど |
カビ | 帯芯にこもった湿気を乾かさないで収納してしまった |
帯の糸のほつれ | 手指の荒れ(ささくれなど)で生地を引っ掛けてしまったなど |
もし、帯にシミやシワなどがある場合は、自己処理をせずに専門業者に依頼しましょうね。
自己処理を間違うと、帯がダメになってしまう危険性があります。
大切な帯が傷まないように、帯を使ったあとは以下の基本のお手入れ方法4ステップを必ず行いましょう。
- ぬくもりがあるうちに、ハンガーに掛けてシワを伸ばす
- ホコリやゴミを取り、汚れ・シミがないかよくチェックする
- 帯の日陰干しをしてよく乾燥させる
- 湿気がとれたら帯を丁寧にたたみ、たとう紙に包んでタンスなどにしまう
タンスなどにしまったあとも帯のケアは必要です。
- 定期的に虫干しをし、溜まりやすい湿気を飛ばす
- 指や爪で大切な帯を傷つけないよう、日頃のハンドケアを行う
帯をダメにして悲しい思いをしないためにも、日頃からの帯のお手入れをきちんとしましょう。
大切な帯をいつまでも長く使いたいものですよね。
以下は、お手入れのポイントをまとめてありますので、ぜひご一緒にどうぞ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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